インプラント8万より ‐ インプラントの団地会館歯科 HOME > 解説

解説

おわりに・2010年5月14日

 歯科治療は、より機能的なもの、美的なもの、あるいは痛みを軽減する治療を求めて、日々進化をしています。以前なら、入れ歯をつくるしか方法がなかった患者さんが、インプラント治療を受けることで、自分の歯と変わらない機能を取り戻すことができるようになりました。また、セラミックのかぶせの項で述べた赤外線カメラは、開発までに20年近くかかったようですが、カメラを口の中に入れると、1度の撮影で歯の高さや横のサイズ、傾斜角度などをすべて計算できるものです。
 受けられる治療の選択肢が広がったのはよいことですが、すべてが保険診療の範囲内で受けられるものではありません。場合によっては、かなり金額がかさむものもあります。どんな治療にどんなメリット、デメリットがあるのかといった圧縮な情報を知ることがとても大切です。
 診療所を選ぶときには、一般歯科、小児歯科と掲げていれば保険治療が中心の歯科診療所、インターネットのホームページで、矯医歯科、インプラント、審美歯科と掲げていれば保険外診療を行う歯科だと考えてよいでしょう。
 腰が痛い場合なら、整形外科に行き、患部を温めて牽引してもらったり、整骨院やカイロプラクティック、マッサージに行くといった選択肢があると思います。慢性病では、治っているのかいないのかが何となくはっきりとしないこともありますが、歯の場合は、一目瞭然です。眼科でいう近眼の手術や、シミやシワをとる美容外科に近い感覚でしょうか。患者さんがどんな治療を受けたいかによって歯科を使い分けなければいけない時代がきているのだと思います。
 また、治療法もさることながら、本来はむし歯や歯周病をつくらないことが大前提です。毎日きちんとブラッシングしているのにむし歯になる人は大勢いますが、それはブラッシング法に問題があるからにほかなりません。これには私自身がずっと行ってきた「ローリング法」を実践していただき、いままでのブラッシング法と比べていただければと思います。
 インプラントの項で述べたIGIシステムは、まだ全国に約10白しか導入されていませんが、コンピューターの画面で手術の動きを追いかけられるようになりました。歯科大学ではこのような技術については勉強しませんから、歯科医になってから必要を感じ、ある程度安定して患者さんがきている診療所でなければ導入は無理でしょう。技術の面から言っても、多くの手術の経験がないと使いこなすことは難しいと思います。私の場合も、20年以上手術を行ってきたから最新システムを入れてみようということなのです。
 また、本書では、現在の医療制度についても簡単ですが触れてあります。これは、我々歯科診療に携わる者だけでなく、患者さんの利益にもかかわってくることです。医療制度については疑問に思わざるを得ないことも多々あります。その一端でもみなさんに知っていただくことは、よりよい歯科治療を受けていただくために無駄なことではないと思っております。
 歯の悩みを抱える皆さんが、健康な歯で毎日を快適に送られるよう、本書が少しでもお役に立てればこれほどうれしいことはありません。

治療で感染症にかかることはないの?

Q.歯医者さんには手術室などがないイメージがあるのですが、インプラントなど歯の手術をするときに感染症の心配はないのでしょうか。


A.TVなどで院内感染が話題ですが、歯科診療所で重要なのは、治療のとき患者さんの口の中に入れる器具です。皆さんご存じの、タービンが回るため「キーン」という特有の音がするあの機械ですが、十分に殺菌してあれば、心配はありません。この器具で歯や歯肉、骨を削るので、血液がタービン、エンジン、内部の歯車部分にも侵入するため、先のほうだけを滅菌しても意味がないのですが、ちなみに当院ではその部分すべてを完全加熱滅菌しています。タービン50本、エンジン30本以上、付属器具すべてを滅菌保管して患者さんごとに付け替えています。ウイルスは熱に弱く、あのエイズウイルスでも100度を超える高温では生きていくことができません。滅菌にはいくつか方法がありますが、手間とコストのかかるこの加熱殺菌が、安全で安心できる方法なのです。

口の中のガンヘのタバコのリスクは?

Q.ヘビースモーカーで歯が汚いことが気になりますが、汚いだけでなく口の中のガンにかかりやすいということはありますか。


A.口の中のガンになる確率は、タバコを吸っている人は吸っていない人の約数倍~数十倍といわれています。□の中はむし歯などの細菌がふつうにいる場所ですから、口の中にできた傷に細菌がふれる可能性に満ちています。タバコの有毒成分が傷にふれれば、粘膜がおかされる可能性が高くなりますから、常に免疫状態が悪いともいえるでしょう。環境的にガンのリスクが高いことは事実です。

口の中のガンについて

Q.口の中のガンがあると聞きましたが、よくあることなのでしょうか?


A.歯科クリニックを開業して20年ほどたちますが、今までに数名、口の中のガンの症例がありました。どの人も歯の治療で来られて偶然わかったというケースです。
 1人は舌の下に潰傷があって、見るからに異常なしこりがありました。大きな病院を紹介しましたが、「歯科だからたいしたことはない」と言い、プイと横を向いて帰られました。半年後に「息ができない」と言って来られたときは、手のほどこしようのないほど大きくなっていました。舌ガンです。
 上顎ガンの方もいました。口蓋にまで広がっていて、組織が浸潤しているのですぐに異常とわかるんですね。口の中のケガやおできは、たいしたことないと思われるようで、気にしない人が多いようですが、やわらかい組織でできているので、異常細胞が侵入すると広がりやすい特徴をもっているんです。上顎ガンでは、短期問に脳やリンパ、肺に転移してしまうこともあります。骨は再生しないので、インプラント体で入れ歯のようなものをつくってはめこんだり、ほかから骨を移植したりと、場所が場所ですから手術はけっこう大がかりで、アゴの大部分がなくなってしまうこともあります。ガンがかなり大きくなっても痛みなどの自覚症状はほとんどなく、腫れてきたかなという程度。歯に問題がなくても、半年~1年に1度は、歯の健診を受けることをすすめます。

歯科の診療代のことがよくわかりません

Q.このあいだ1本むし歯を治すのに3回歯科に通いました。初診科を入れなければ、診療代は1回200円程度でした。歯医者さんはリッチなイメージがありますが、この金額を見るとそうとも思えません。実際はどうなの?


A.簡単なプラスチックの詰め物で保険点数は約300点(3,000円)、神経を取るのは前歯約200点(2,000円)、奥歯で約500点(5,000円)、抜歯は前歯で150点(1,500円)。国が決めたことですから仕方がありませんが、時給でいくらになりますか?というレベルです。保険診療だけで歯医者をやっていくには、数をこなすしかありません。このまま保険点数が上がらなかったら、歯科医院の数は淘汰されるのではないかと思われます。

同じ治療は同じ歯科医院でできないの?

Q.むし歯の治療をしましたが、その後どうも調子がよくなく、痛みもまだあるような気が。再診しましたが、レントゲンをとってようすをみましょうということで何もしてくれません。よい先生だと思うのですが。


A.むし歯を削ってかぶせた場合、それが2年以内にケガで歯を抜かなければいけなくなったとしても同じ歯科ではかぶせ直すことはできません。5年ほど前に医療費削減のために国が決めたことです。「できないんですよ」とはいえても、「ここへ来ないでくれ」とはいえないんじゃないかと思います。2年間は手出しができないです。今年インフルエンザにかかって診察を受けたから、来年はかかっても診察できませんよというようなもの。おかしいですよね。
 もし治療をしたらその歯科医院が全額保証することになってしまうのです。あきらめてほかへ行ってもらうしかないのが現実です。理屈からいえば病院を転々とすれば治療はしてもらえるということです。患者さんは保険診療でやるか自費診療でやるかを自分で決めなければいけない。治療をしたいならほかへ行くしかないのが現実です。行った先の歯科医が適切な治療をしても、その先生のところではまた同一部位に2年の治療の制限が発生します。

入れ歯が合わなくなってしまった

Q.病気をしてからだがやせたら入れ歯が合わなくなってしまいました。もう3個めなのです。インプラントに興味があるのですが保険が利かないのはやはりネックです。


A.義歯の始まりは江戸時代ぐらいまでさかのぼります。木を削り出して入れ歯状のものを□の中に入れていたとも聞きます。型取り材と樹脂の進歩で、現在のようにある程度その人に合うような義歯が筒単にできるようになったのは昭和に入ってからのことです。
 入れ歯がどうしても満足できないというのは、使う人の感覚的なこともありますが、入れ歯はやはり入れ歯でしかなく、限界があるということも知っておいてください。歯の床ごと入れるあんなに大きいものは、口の中に入れてしっくりくるわけがない。入によっては、入れたそばから嘔吐感もあります。個人的には入れ歯は入れないほうがいいと思いますよ。
 入れ歯は使い物にならないから、歯を復元できないかという発想からできたのがインプラントです。インプラント治療が完成した背景には、からだになじむチタンの柱と自然に見えるセラミックという素材ができたことも大きいと思います。
 歯というのは比較的単純な組織ですから、骨から支えるものが出てそれに歯冠がくっついていれば、もとの機能を戻すことができます。ほかの臓器だと、臓器そのものがミクロ的に複雑な組織でからだを機能させているので、人工のものをからだの中に入れて機能させるのはとても難しいですよね。人間のからだの中でこんなに容易に移植術を行えるものは少ないと思います。
 視力が落ちればメガネやコンタクトレンズを買う、聴力が落ちれば補聴器を買うということは常識でも、歯の場合は「歯を失ったら保険で入れ歯を入れる」。ところが入れ歯は我慢して使わなければいけない構造をしている、という常識でここまできてしまったというのが現実です。
 機能的な問題と外見的な問題を気にしないのなら、保険の入れ歯で十分だと思います。最低限の機能を治すのが保険診療です。国の予算の範囲で誰でも一律に受けられるのですから、限界はあります。どうしても入れ歯に違和感があるのなら、インプラントを考慮してもよいのではないかと思います。ある程度の永続性と機能性が保証されます。残念ながらそれは保険診療外で行っているということです。

義歯は半年以内にはつくり替えられない!

Q.入れ歯が合わないので新しいものをつくるしかないと受診したら、新調後6か月間はつくれないといわれました。なぜなんですか?


A.入れ歯は合わなくなったり、割れたりしても、同じ診療所では6か月以内に新しいものはつくれません。これは国によって決められています。別の診療所ならつくれないことはないですが、患者さんの時間と手間を考えるとあまりおすすめはできませんが、入れ歯はやはり違和感が強いものなので、なかなか合うものが見つからないといって、実際には何個もつくっている人がいます。また、入れ歯は、それをつくる歯科技工士の腕次第ということもあると思います。
 プラスチックでできている入れ歯は、厚いしやわらかいので、かむとどうしてもゆがむのです。義床の中心部分を金属でつくるとlm以下と薄くできて、割れることもありません。感触は非常にいいようです。ですが保険は利きません。私のクリニックでは20万円くらい。場所によっては20~100万円以上といろいろです。

歯科ドックはおすすめ?

Q.最近「歯科ドック」というのを耳にしますが、受ける意味はありますか?


A.人間ドックの一部でやっているものはかまいませんが、改めてすることにそれほど意味はないと思います。歯科で口の中を見てレントゲンをとれば、たいていの歯の病気は予想がつきますから。ただ、歯科のかかりつけをもって、定期的に歯の健診を受けることは、もちろんおすすめです。

歯医者さんがどうしても嫌いなんです

Q.私の主人は歯医者さんが嫌いで、むし歯もないし、もう20年歯医者に行っていないというんですが、歯が汚くて歯周病じゃないかと心配です。歯医者さんに足を向かせる方法ってないのでしょうか?


A.一口で歯周病とわかる状態で、歯ぐきが腫れた、痛い、かめなくなったといって来られる方はおおぜいいます。全部の歯が痛くなってどうしようもないとか、歯がブラブラして抜けそうとか。どうしてそんなに悪くなるまで放っておいたのかと思ってしまいますが、20~30年かけて悪くなったのですから、その間、歯科に行かなかったということは、人それぞれでしょうが、歯科に行きたくない理由があるのでしょう。たくさんの方の口の中をみてきましたが、40~60歳代で8~9割の人が歯周病にかかっているのではないかという印象です。まったく健康な歯という人は少ないのです。歯の悩みを抱えている人はたくさんいますし、痛みを軽くしたり、治療の恐怖心を少なくするような方法もあります。健康な歯の人でも、定期的な歯科の健診を受けることがたいせつです。たった今からでも、正しいブラッシングと歯科でのケアを受けるよう、すすめてあげてください。