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第1章

歯の健康を保つためにできること ・2010年5月 7日

歯の健康を保つためにできること

むし歯や歯周病を予防するには、正しい歯磨きで原因となる細菌の数を減らすことが大前提ですが、それ以外にできるむし歯対策、口の中の健康を保つポイントをご紹介しましょう。
★歯並びを直す
 よくかむためには、よい歯並びであることが大事です。歯並びが悪いというのは、上下の歯がふれ合わずに浮いた状態。きちんとかんでいるつもりでも、一部の歯しか食べ物に当たっていないので、しっかりかむことができません。また、ちゃんと歯磨きをしているつもりでも磨き残しができてしまうので、むし歯や歯周病の原因にもなります。歯並びはよくかまない習慣から悪化するわけではなく、歯のサイズとアゴのサイズが合っていないため、歯が悪い位置に生えることで悪くなります。歯の健康のためには早い時期に歯科矯正を行うことをすすめます(第4章参照)。
★甘いものをとりすぎない
 むし歯菌は砂糖が大好き。自分の体に蓄えたり、砂糖からのり状のグルカンという物質をつくって、歯にへばりついて歯垢となり、歯の表面に住み着きます。そして乳酸などの酸に変わり、その酸を出し続けます。寝ている間にもつくり出されるこの酸が歯を溶かし始めるのが、むし歯のはじまりです。甘いものが一定時間以上目の中に入った状態では、その間ずっと酸が歯を溶かしているようなもの。毎食後はもちろん、間食(おやつ)のあとも歯を磨きましょう。
★食間をあける、よくかむ
 食べ物が口の中に入ると、口の中は中性から酸性に傾きます。そしてPH(ペーハー)が5以下になると、歯の一番外側の部分のエナメル質を溶かし始めるのです。これをくい止めるのが、酸性に傾いた口の中を中性に戻す唾液の力。唾液に含まれるカルシウムやリンが、溶け出した歯の部分に取り込まれ、エナメル質を再石灰化させます。間食が多く、食べ物がいつも口の中にある状態では、口の中はいつも酸性に傾き、再石灰化をするひまがないわけです。食間をあけ、暗涙の分泌をよくするためには、よくかむことも大切です。
★キシリトール入りガムをかむ
 白樺や樫の木などに含まれる天然の甘味成分「キシラン・ヘミセルロース」に水素を加えて化学反応を起こさせた「糖アルコール」がキシリトールです。むし歯菌は甘いものが大好きなのに、なぜキシリトールはなぜむし歯予防によいのでしょうか。それはキシリトールが、むし歯菌が分解できない構造をしているため。キシリトールが唾液と混ざって広がると、口の中はむし歯菌が分解できないもので満たされることになります。ですから、キシリトール入りのガムをかんで出た唾液は、しばらく口中に行き渡らせるようにするのがコツです。
★フッ素入りの歯磨き粉はおすすめ
 歯の表面をおおうエナメル質は、酸に溶けやすい成分でできているので、むし歯菌が出す酸ですぐに溶け始めます。フッ素入り歯みがき粉を使うと、エナメル質にフッ素がつくので、歯が酸に溶かされにくくなります。フッ素入り歯みがき粉を使ってもむし歯菌を減らすことはできませんが、歯の質が強化され、むし歯に強い歯をつくることは可能です。欧米では、水道水にフッ素を加えてむし歯を減らすことに成功しています。

[歯の名称]
上の真ん中の歯から奥へ向かって
中切歯
側切歯
犬歯
第1小臼歯
第2小臼歯
第1大臼歯
第2大臼歯
第3大臼歯
下の奥から手前へ向かって
第3大臼歯
第2大臼歯
第1大臼歯
第2小臼歯
第1小臼歯
犬歯
側切歯
中切歯

歯は上下の第3大臼歯(親知らず)4本を入れると全部で32本あります。本書のなかで「前歯」と呼んでいるのは、上下2本すつの中切歯、側切歯、犬歯計12本を指します。永久歯でいちばん最初に生えるのが第1大臼歯(6歳臼歯)です。乳歯の生える順番については、第6章を参照ください。

ブラッシングの常識をくつがえす

ブラッシングの常識をくつがえす

歯周ポケットに斜め45度に、毛先の細い歯ブラシを当て、細かく動かすようにブラッシング......世の中でいつのまにかまかり通っているこのバス法といわれるブラッシング法。これは、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間)の清掃や歯ぐきのマッサージが目的で推奨されているようですが、歯の状態が健康な人に歯周ポケットはありませんし、歯周ポケットがあったとしてもそれで汚れは落ちません。むし歯予防に最も理想的な磨き方ではないのです。

むし歯予防にはローリング法
むし歯の原因になる細菌は、歯にべったりと付着する性質があります。たとえば、鍋にこびりついたコゲは、やわらかいスポンジでいくらこすっても落ちないですよね。ふつうは硬いタワシなどでこそげ落とそうとするのではないでしょうか?
歯の細菌を落とすのも、実はそんなイメージです。歯ブラシはなるべく硬いものを
選び、歯の根のほうから先に向かって、90度回転させるように磨きます(ローリング法)。ローリング法は硬い歯ブラシで行わなければ意味がありませんし、逆に、硬い歯ブラシでバス法のように磨くと、いっぺんに歯肉を傷めてしまいます。この方法で食後に毎回3~5分磨くのが基本です。 歯磨き粉はとくに必要ありません。液体のマウスウオッシユは、口臭予防の点では効果が期待できますが、歯磨きに使う必要性はあまりありません。歯に着色汚れ(ステイン)がついて気になるときには、ステインを除去する成分の入った歯磨き粉を一時的に使ってもよいでしょう。自力で磨くことができれば、電動歯ブラシも必要ありません。かなりシンプルですが、歯磨きはこのやり方だけで十分なのです。

歯間ブラシで歯間清掃することも大事
歯と歯が接触しているところ、つまり歯間は、特に細菌が住み着きやすいところです。歯ブラシで落とすのは難しいので、デンタルフロスや歯間ブラシを使ってきれいにしましょう。
  歯間を清掃するデンタルフロスや歯間ブラシは、さまざまな種類のものが直販されていますが、無理なく歯間に入る太さのものを選びましょう。太いものを無理に歯間に入れると歯肉にダメージを与えてしまうので、まずは細いものから使ってみるとよいでしょう。デンタルフロスや歯間ブラシを歯間に入れたら、歯面に沿うようにゆっくりと4~5回往復させるように使います。
 食後に歯に食べ物がはさまったときによく使われるのがつま楊枝ですが、つま楊枝は歯肉を圧迫したり、歯間が開いてくる可能性があります。食後は、デンタルフロスや歯間ブラシで歯間清掃をしましょう。

歯ブラシの持ち方
食事のときのナイフを持つ手と同じように、親指と人差し指でしっかり歯ブラシを支え、ローリング法は手首を使って歯ブラシを回転させるように磨く。

[むし歯菌を取るブラッシング法(ローリング法)]
歯の表側の磨き方
①ローリング法では、なるべく毛先が硬い歯ブラシを選ぶこと。歯ブラシの側面を歯と歯ぐきに当てる。毛先は歯と歯ぐきを痛めるので当てないように注意。
②毛の側面を歯と歯ぐきに押さえつけるようにしながら歯ブラシを回転させる。
上の歯は上から下へ、下の歯は下から上へ外向きに回転させるように。2~3本ずつ数回くり返す。
歯の裏側の磨き方
歯の表側と同様に、毛の側面を歯と歯ぐきに当て、毛の側面を押さえつけるようにしてブラシを回転させて磨く。
臼歯(奥歯)の上の方は普通に軽く前後に動かしたり、ブラシの側面を当てて回転させたりして丁寧に磨く。

[デンタルフロスの使い方]
デンタルフロスは、食べ物のかすが残りやすい歯と歯の間の汚れをとるもので、毎歯磨き後でなくても1日に1回程度使うのがおすすめです。
糸巻きタイプのものや、便いやすい持ち手のついたタイフ'もあります、
紐状のデンタルフロスは40~50cmの長さに切り、左右の中指に巻きつけます。
人差し指と親指で1~2cm、フロスをピンと張った状態にします。
歯間に入れ、前後に引くようにしながら上下に動かします。

[歯間ブラシの使い方]
歯間ブラシの使い方は簡単。歯と歯の間に入れて、前後に動かすだけ。洗って再使用できます。ブリッジの治療をした部分などにも使いましょう。

デンタルフロスや歯間ブラシにもいろいろなタイプやサイズがあるので、使いやすいもの、自分の歯に適したものを選びましょう。