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第4章

歯の矯正Q&A ・2010年5月13日

Q.歯を抜くこともありますか?
A.特にデコボコのひどい場合は、歯を抜くこともあります。これはきれいな歯並びにするためで、抜いた隙間がそのまま残ることはありません。

Q.口の中に装置を入れると、痛くはないのですか?
A.初めてつけて1週間ぐらいは歯が浮いた感じの弱い痛みがありますが、1週間程度で慣れる方が多いようです。

Q.歯磨きはふつうにできますか?
A.矯正装置を入れると歯を磨きづらいので、汚れがつきやすくなります。医師が磨き方を教えてくれるので、ていねいにみがきましょう。

Q.治療の途中にむし歯ができたらどうすればいい?
A.治療の途中でもむし歯の治療は可能です。むし歯になると治療期間が長引いてしまうので、矯正治療中はむし歯にならないように歯磨きは特にていねいに。

Q.治療中の食事は?何を食べても大丈夫?
A.特に制限はありませんが、装置にくっつきやすいガムやキャラメルは控えて。痛みがあるときには固いものは避けましょう。

Q.金属の装置なので、口の中を傷つけることはないのですか?
A.歯の表面に装置をつけると唇の内側とふれあうので、当たったところに炎症が起きて痛みを感じることがあります。そのときはがまんせず、受診してください。

Q.スポーツはしてもかまわない?
A.基本的に制限はありませんが、サッカーやバスケットボール、格闘技など激しい接触が予想されるものについては主治医に相談してください。矯正装置に上からつけるスポーツガードというマウスピースもあります

矯正治療の方法

 まずは、レントゲン検査で撮影したレントゲン写真から、骨の形や角度を計測して数値を出し、治療計画を立てます。
 治療を始める前にすることは、歯全体のレントゲン撮影、頭と顎の骨全体のレントゲン撮影(横と正面)を行い、その人の歯の生え方や状態をしっかりとチェックすることです。その結果、矯正しても歯が並びきらないと判断した場合は、犬歯の奥にある小臼歯を抜歯することもあります。
 次に歯型の模型づくりを行います。これで歯の全体像が見えるので、歯並びやかみ合わせの問題点がわかります。歯の大きさや上下の歯列のカーブの大きさも測定し、矯正前の口の中の写真も撮っておきます。
 矯正治療の期間ですが、治療を始めるまでに診断や検査などで3~4回、口の中に矯正の装置を入れたら月に1~2回は通院します。装着する期間は器具によっても多少変わりますが、おおよそ1~3年ぐらいです。

◆ブラケットという装置を装着
ブラケットとは、矯正のときに歯につける金属でできた装置のことです。一般的な金属のブラケットとセラミックのブラケットがあります。セラミックは目立ちにくいというメリットがあるので、大人の場合はセラミックを希望する人が多いかもしれません。
 これを歯に装着するまでの間に、歯に酸を少しつけて表面を少しザラザラにする前処理を行います。これは、ブラケットをしっかり固定するためです。
 いよいよブラケットをつけます。接着剤でブラケットを歯に貼りつけ、ワイヤーで固定します。普通、一番奥の歯を除いて装着します。固定のために使うワイヤーはその人に合った太さのものを選びます。
 1回目の処置はここまでで、歯の磨き方や食べ物などの指導を受けます。
★最初、少し痛みがでることも
 ブラケットをつけた当初は違和感を感じるのは無理もないこと。たいていの人は1週間もすれば気にならなくなります。矯正は、ワイヤーがもつ引っ張る力や回転する力を利用して歯に伝えて歯を動かすものなので、動き出したときに少し違和感や痛みを感じることも少なくありません。
 2回目以降の治療では、歯の動きに合わせてワイヤーを締める処置をします。処置後数日間は痛みがありますが。次第にやわらいでいきます。
 装着期間はおよそ1~2年です。

◆矯正器具が見た目にわからない裏側矯正
 ブラケットを歯の内側につける裏側矯正は、外からは矯正していることがまったくわかりません。しかし、金属が直接舌にふれるので舌が傷つきやすく痛い、発音しにくくなる、汚れを掃除しにくい、費用が高いなどのデメリットも。また、治療期間も普通より1.5倍ぐらい長くかかります。

◆矯正後しばらくはリテーナーをはめる
 歯が正常な位置に戻ったら、後戻りしないようにリテーナーをつけて保定する最終段階に入ります。
 リテーナーは、上顎用の透明のマウスピースタイプ(インビジブルタイプ)、下顎用の針金で固定するタイプがあります。リテーナーは取りはずしが可能ですが、矯正治療が終わった直後は、食事や歯磨きのとき以外は1日中つけるのが基本です。そして、だんだんと寝ている間だけ~1日おきというようにつける時間を短くしていきます。保定期間は3~6か月おきに受診して、状態をチェックします。
 リテーナーをつける保定期間は「矯正にかかった期間と同程度」が目安。矯正に1年半かかったら、1年半は保定期間とみたほうがよいでしょう。また保定期間が終了して、治療が完了してからもときどきつけてみるようにします。つけたときにきついと感じたら、後戻りの可能性があるからです。

歯並びやかみ合わせが悪いとき

 歯並びが悪くなるのは、小さい頃から軟らかいものばかり食べてきたためにアゴが育たず、歯の数が少なくなったからなどといわれますが、それは間違いです。歯並びが悪いのは、歯のサイズとアゴのサイズが合っていないために、本来の場所ではないところに歯が生えてしまうから。歯の数やアゴのサイズはお母さんのおなかの中にいるときに決まってしまうので、自然に治せるものではありません。
◆かまない・かめないことのリスクは多大
 歯の本数は、親知らずを入れると上下16本ずつで計32本です。
 正しいかみ合わせとはどんな状態をいうのでしょうか。
①上下の前歯の真ん中の線(正中線)が一致している、②上アゴの前歯が下アゴの前歯の4分の1をおおっている(上の歯のほうがちょっぴり出ている)、③歯と歯の接触状態が歯の形に合っている状態をいいますが、3つのすべてを満たしている完璧な歯並びの人はなかなかいないものです。
 歯並びが悪いときちんとかめないので、一定の歯にだけ負担がかかって歯が消耗します。また、アゴの成長や顔かたちにも影響する、発音しにくい、見た目が悪くコンプレックスをかかえるなどの問題が生じます。また、いちばんこわいのは、汚れがつきやすく歯みがきがゆき届かないので、むし歯や歯周病になりやすいということ。長期間放っておくと歯を失うリスクが高くなるということです。
 このほか、肥満になったり、ガン、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高くなります。

◆悪い歯並び・かみ合わせの種類
★叢生(八重歯・乱ぐい歯)
 歯が重なり合って生えている状態を叢生といいます。叢生には、アゴのサイズに比べて生えてくる歯の幅が大きいため、あとから生えてくる犬歯の生える場所がなくなって歯列の外側に出てしまうハ重歯、狭いところに混み合って生えデコボコしている乱ぐい歯などがあります。
 叢生では、上下の歯がしっかりかみ合わないのでよくかむことができません。
 また、重なり合った歯の部分にみがき残しがでやすいので、むし歯や歯周病にかかりやすく、歯を失うリスクが高くなります。
★反対咬合(うけ□)
 正常なかみ合わせの遂になった状態、つまり下の歯が上の歯より出ているかみ合わせを反対校合(うけ口)といいます。受け口は叢生や出っ歯よりも気にする人が多
く、矯正を受ける率が高いようですが、外見上だけでなく、食べ物がよくかめない、聞き取りにくい話し方になるなどの問題があります。
 下の歯の傾き方が外に出ている場合と、下顎の骨格が大きすぎる場合があります。歯の傾き方に問題がある場合は歯科矯正で簡単に治りますが、骨格に原因があるときは、下顎の骨の切断手術が必要になります。下顎の成長が止まる(身長が伸びなくなる)のを待って行うことが多いようです。
★上顎前突(出っ歯)
 上の歯が前に出ているかみ合わせが上顎前突。いわゆる出っ歯のことです。上下の歯列ともに前に飛び出している上下前突のほか、下のアゴの発達が悪くて引っ込んでいるため、上のアゴとかみ合わず内側に引っ込んでいる過蓋校合があります。
 歯だけが悪い場合は、矯正で治ります。アゴの骨の大きさや位置に問題がある場合は上顎骨を頭蓋骨から切り離す手術が必要となります。
★開咬
 奥歯はかんでいても、前歯がかみ合わずに開いているのが開院です。鼻がつまって目呼吸をする、舌を出すクセ、長く続いた指しゃぶりなどが原因で起こります。
 開咬では、前歯でものをかめないだけでなく、正しい発音もできません。
★すきっ歯
 歯と歯のすき間が開いているのがすきっ歯。口を閉じているとき、ふつう舌は上アゴに着いていますが、すきっ歯の人は上の前歯の裏に舌の先が着くため、歯を舌で押す傾向があるようです。小さい頃、おしゃぶりを使いすぎたり、指しゃぶりのクセが長く続いたことが原因として考えられます。矯正で歯並びは治りますが、舌のクセが治らないと、再び歯が動いてすきまが開いてしまうことも考えられるので、舌を前に出さないような器具を歯に装着して舌のクセを直します。舌の先を上顎につける体操なども教えてもらいましょう。
★交叉咬合
 歯の上下の歯がある部分で交叉しているかみ合わせを交叉咬合と呼びます。交叉している部分の歯に力がかかりすぎてしまったり、アゴの運動に制限が生じます。
★歯科矯正は遅くても高校生までに終えたい
 歯科矯正は歯を動かして正しい位置に戻す操作なので、歯を支える組織にダメージを与えます。もちろん大人になってからでもできますが、加齢とともに歯の骨は柔軟性を失うので、受診はできるだけ早く、治療は遅くても高校生までに終えるのが理想です。

◆歯科矯正ではどうして歯並びがよくなるの?
 歯科矯正では、矯正器具を歯に装着しますが、どうしてこれで歯の位置が変わるのか不思議に思われる方もいるでしょう。
 歯は歯の骨の上に植わっていますが、永遠に動かないものではないのです。それは歯の骨が生きているからです。骨は絶えず細胞分裂を繰り返し、新しい骨に生まれ変わっていきます。
 歯は、舌の圧力、かむ力、弓なりになった歯列のバランスのなかで同じ位置に保たれています。1本歯が抜けるとほかの歯がそこに倒れ込んだり、口をあけたまま絶えず舌で歯の裏を押していると歯は外に出っ張ります。矯正はこの生きた歯の骨のしくみを利用して、何本かの歯を支えに、動かしたい歯を動かしたい方向に動かす技術です。
◆治療する?どこでする?いくらかかる?
治療の話を始める前に・・・。
 日本では、八重歯などはかわいいとかチャーミングな印象を持ちますが、アメリカの俳優や歌手で歯並びの悪い人は見たことないですよね。歯斜辺削はアメリカで生まれで、世界の歯科矯正の中心は、間違えなくアメリカです。
アメリカではかみ合わせに異常があると、歯科矯正をするのが習慣です。アメリカはそもそも保険診療ではないので、治療代は日本と変わらず、安くはありません。それでも日本で歯科矯正をする人がまだまだ少ないのは、歯科矯正に対する意識が低いということにつきると思います。
 歯科矯正の治療代は自費(自由診療)なので、診療所によってさまざまです。症状や治療期間によって治療代は異なります。歯並びの異常が一生からだに与えるリスクや精神的コンプレックスを考えると、金額の問題ではないという考え方もあると思います。
 治療期間は月に1~2回ぐらいの通院で1~3年間ほど、あるいはそれを超えることもあります。高額で長期の治療となりますから、自分に合った診療所を探し、納得のいく診療をすすめましょう。