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コラム

「歯育」も親の役目です ・2010年5月14日

 日本人ひとり当たりの永久歯のむし歯の本数は、15.67本。むし歯が原因で抜いた永久歯の本数は5.91本です。永久歯の数は親知らずを除くと28本ですから、歯の半分はむし歯で、2割の歯をむし歯で失っているという結果になります(厚生労働省平成11年歯科疾患実態調査より)。
 これを世界的にみてみると......。「世界の12歳児むし歯罹患状況(DMFT)99年」によれば、日本の子どもは2.44本。 12歳でむし歯を3本以下にというWHOが設定した目標は達成していますが、先進諸国の多くが80年代までにこの目標を達成していることを考えれば、日本は歯の健康に関して相当立ち遅れているといってもいいでしょう。
 歯科診療にお金がかかるのが当たり前の国々では、歯の健康についての意識が高いのも当たり前かもしれません。保険診療の限界という問題もありますし、歯科医療は進歩しているのに、それを生かせない歯科医側の問題もあるでしょう。
 歯を支える歯槽骨は健康な人なら100歳を過ぎてももつといわれています。残念ながら、歯のケアでは治らない歯並びは矯正しなければいけませんが、むし歯や歯周病は正しいケアで予防できるものです。この状況を次世代まで受け継がせないためにも、「食育」ならぬ「歯育」をお母さんやお父さんにはぜひ考えていただきたいと思います。

歯科治療で使われる主な鎮痛剤や精神安定剤

 歯科診療で使われる鎮痛剤や精神安定剤は診療所によってさまざまですが、以下は私のクリニックで使っている薬剤です。
参考までにご紹介しましょう。

[精神安定剤(抗不安薬)]
緊張して血圧が上昇したり、器具を口の中に入れただけで吐き気がする場合、この薬を使用することにより、通常の治療が可能になります。

[静脈麻酔剤]
大脳の働きを抑制して意識を低下させます。治療を受けたことをあまり記憶に残しません。

[非麻薬性鎮痛剤]
中枢神経を介して伝わる刺激を抑制し、鎮痛効果を発揮します。モルヒネに近い鎮痛効果があります、注射薬にペンダゾシン、などがあります。

[副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬]
強い鎮痛・消炎作用をもつハイドロコーチゾンなど、術後の腫れや痛みの緩和の目的で使います。

 上記のほかに、笑気麻酔を使う場合もあります。鼻から笑気というガスを吸い込む方法で、お酒に酔ったときのような状態にして、緊張感を取り除きます。ガスを吸うのをやめれば効果はなくなるので、手術後の帰り道が安心です。

歯科治療の痛み、何とかならないの? ・2010年5月13日

 歯科のクリニックといえば、痛みとセットになって思い浮かんでしまうのは悲しいことです。私のクリニックは入□から診察室までなんの仕切りもなく、空間が1つにつながっているので、何をやっているのかと疑心暗鬼になるようなことはないと患者さんにも言っていただいています。ただ、環境である程度の恐怖心はとり除けても、治療を始めれば痛いものは痛い。痛くないようにと局所麻酔を打つときにまた痛いのですから、怒りさえこみあげるお気持ちはよくわかります。患者さんはまな板の上の鯉。恐怖心がつのるのは当然でしょう。
 通常、保険診療で行える麻酔は歯肉に注射する局所麻酔だけですが、私のクリニックでは治療への恐怖心、吐き気などにも対応して、希望があれば精神安定剤や静脈麻酔剤といった薬剤や、笑気ガスなどの薬剤を使用することで、安全で快適な治療を受けられるようにしています。

もしかして歯周病?チェックリスト ・2010年5月12日

2つ以上あったら歯科ヘ
□ 食後に食べ物のカスが詰まりやすい
□ 歯ぐきが腫れているような気がする
□ 固いものをかんだとき、歯ぐきから血が出る
□ 1日1回しかブラッシングをしない
□ 歯ぐきの根元が露出して、冷たい物や甘い物がしみる
□ 歯ぐきが黒ずんできた
□ 固いものをかむのが苦手になってきた
□ 喫煙者だ


1つでもあったらすぐに歯科へ
□ 歯がグラグラしている
□ 歯ぐきから膿が出る
□ 歯が伸びた感じで長くなった気がする
□ 口臭がきつくなった(と言われた)
□ 歯のかみ合わせが悪くなったと感じる
□ ブラッシングのたびに歯ぐきから血が出る

日本と海外の歯科治療

 だれでもお金の心配をしないで治療を受けられる医療保険制度が日本の医療の特徴です。歯科診療への国家予算についても、歯科に限れば医師の数も質もまずまずだといえるでしょう。しかし、歯科医をしていて感じますが、日本の国民の□の中は、健康な伏態のレベルが高いかというと、まったくそうとはいえません。歯磨きをしない人はたくさんいますし、5年以上歯科にこないという人もざらにいます。
 恵まれた歯科診療の環境にある日本人の□の健康がなぜ守られないかは、治療費に1つのヒントがあるようです。たとえば病的な異常のある神経を抜くときの処置料は、平均的な診療回数を考慮すると日本では1本平均約6000円。諸外国をみてみるとアメリカやイギリスでは平均約10万円。先進国のなかでも比較的安いドイツでも1万5000円ほどです。日頃からちゃんとケアをじないと、多くの費用がかかるわけです。
 いっぽう、このことで、歯科医が「安い治療費で多くの治療」をしている現状が垣間見られます。歯科医は低い評価で回数をこなす医療を強いられているのです。
 高齢化にともなって(歯をすでに抜いている人の数が多いので)治療すべき歯が減りつづけている現状にあって、保険診療の限界を感じる歯科医も少なくありません。いま日本の保険歯科診療は、大きな転換期にあると思います。